先天性心疾患 | |
先天性心疾患には、心室中隔欠損症(VSD)、動脈管開存症(PDA)、
肺動脈狭窄症(PS)などが挙げられます。
①心室中隔欠損症(VSD)
もともと左心室と右心室は、心室中隔という壁によって分けられています。
ところがVSDの場合、先天的な理由から心室中隔が部分的に欠損していて、
血液の一部が圧の高い左心室から右心室へ直接流れ込んでしまいます。
その血液は正常に流れるので、左心房→左心室を移行する血液量が
異常に増加します。その結果、左心系が拡張し、心機能が低下します。
症状としては、呼吸速迫、運動不耐、せきなどと様々な形で表れます。
②動脈管開存症(PDA)
動脈管とは、大動脈と肺動脈の間にある血管の事です。
胎児の時に重要な役割を果たしていますが、本来は生後72時間以内に
閉じて役目を終えます。
ところがPDAでは動脈管が生後も開いたままになってしまっていて、
右心室→肺動脈を通った血液と
大動脈→動脈管→肺動脈を通った血液が、肺の中で合流して
左心房に一気に流れ込んでしまうのです。
そのため、左心系に負担がかかり、左心室機能が低下してしまいます。
症状としては、呼吸速迫、運動不耐などで、犬の心臓奇形では
最も多く見られる疾患です。
③肺動脈狭窄症(PS)
肺動脈は、右心室からの血液を肺へ送り込む中継器官です。
PSは肺動脈の弁が先天的に狭いので、血液が正常に循環しないのです。
心室の壁に張り巡らされた筋肉は、狭窄に打ち勝とうと活発に働き、
右心室に滞留した血液を肺動脈に送り込みます。
その結果、異常に発達した心筋が、右心室の壁を厚く肥大させます。
また、圧のかかった血液は狭窄部を急速に抜けて肺動脈に流れ込むため、
乱流が生じ、肺動脈壁が拡張します。
こうした状態から右心不全になり、腹水や皮下浮腫が生じます。
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